孤独のグルメSS「コロナ鍋」
コロナ鍋という単語がニュースで躍るようになって久しい…狼たちがそんな風潮を見逃すはずもなかった
『それでは〜!チキチキ!孤独のグルメ・コロナ鍋フェスティバル開催〜!!これはズバリ、昨今話題のコロナビールに合う鍋を争うものだあー!!』
五郎「では俺からだ。鍋の王道・すき焼き。肉以外はネギと焼き豆腐だけでいい。まずサシのない赤身肉を焦げ目がつく程度に焼き、割り下をザっとまぶす
赤身肉のストレートな味を楽しんだら、今度はネギと焼き豆腐と霜降り肉を入れ、割り下をたっぷりと注いで煮る。サシのある肉は焼くよりもこちらの加熱法がいい
鍋が空になったら今度はこの残った割り下に赤身肉。これを煮詰めるようにして佃煮のような旨さを味わう。3段階でコロナビールがすすむ」
『シンプルな材料ながら、肉と調理法で変化を楽しめる采配!噛みしめる赤身肉からとろける霜降り肉の第二波!トップバッターからフルスロットルだぞぉ!』
シャーリー「次は私です。まず1週間ほどマリネしたコーンド・ビーフ、豚肉の塩漬けの角切り、骨付き鶏もも肉。野菜はキャベツ1個を4等分してそのまま
ジャガイモも皮付きで半切りにして入れます。あとはブーケガルニとコショウ。4時間暖炉の火にかけて完成です。ベースがドイツ料理なのでビールとの相性は最高です」
『料理の工程はただ煮るだけ!しかし、材料の手間がハンパない!まさにヨーロピアン・スローフードだ!外出なんかしてる場合じゃないッ!
牛豚鶏の3種が複雑に絡む旨味!そしてとろけるキャベツ!染みたジャガイモ!まさにビールのために生まれた料理ッ!』
滝山「俺も気合入れていくぞ。まず焼肉用の厚さ3ミリ程度の豚バラ肉にフライパンで焼き色を付ける。そして鍋にたっぷりのごま油を入れ、ザク切り白菜を投入
続いてマイタケとシイタケ。野菜のカサが半分くらいになったら鶏ガラスープとカツオだしをダブルで注ぎ、醤油とおろしショウガを投入、そしてさっきの豚肉だ」
『肉はボリューミーだが野菜たっぷり後味サッパリ!何よりも合わせだしを吸った白菜がたまらない!飲むしかない!東京に泥酔アラート発令!』
エテコ「エテコでんがな。みなさんと違うて手間なことはしまへん。1日働いた後にビールを飲むための鍋でんがな」
『お、おおっとこれは…?鍋いっぱいの卵とじ…カツ煮だあー!』
エテコ「これは何のヘンテツもない夜中のスーパーの半額のカツでんがな。まず丼つゆに、透けるくらいの薄切りタマネギをどっさり。火が通ったら上にカツ…
さらに上から溶き卵もたっぷり、6個くらいやな。そして九条ネギで覆うほどまぶしてフタや。気取った半熟卵なんてダメダメ。カツ煮の卵は固く締めんとな」
『トンカツだけではない!これは串カツ!こっちはメンチ!イカフライ!なんとチクワ天まであるぞ!ああ貧乏くさい…のにやっぱり箸が止まらない!
甘いタマネギとカツの黄金コンビに、九条ネギがなんともいえぬ品格を与えています!鍋の中でソーシャルディスタンス完全無視!これでビールを飲まずになんとする!』
挑戦者たちも互いのコロナ鍋を味わい、ビールを楽しむのだった