「ペーパーカンパニー? そうなんですよ」
これで経産省の事業を落札できる要件がそろっていたのだろうか。ここで浮上するのが、万博の催事検討会議共同座長という要職にある大崎氏の「影響力」と「口利き」だ。大崎氏本人に直撃した。
「記者会見をした立ち上げの時、僕はいましたが、万博に専念しないといけないのでそれ以来、S法人とは関係なくやってます、タッチしていません。経産省の事業の落札は知っています。僕が経産省に口利き? そういう意味ね、どう言ったらいいかな……まったくないですね。疑念を抱く? そうそう、だから、リスクがあるので、記者会見以降、まったく退いたんです」
タッチしていないと言いながら、なぜか大崎氏はS法人が経産省から約2600万円の落札したことを知っているというのは、不可思議な回答である。
この大崎氏は、「日刊サイゾー」2023年9月21日付のインタビューでこうも語っている。
《プロジェクトチームはひとまず今は任意団体ですけど、株式会社にするのかNPO法人にするのか一般社団法人にするのか、会議しながら決めていかなあかんと思ってます。とりあえず1カ月以内に法人つくって名刺つくって、地方銀行や信用金庫、企業さんを回ってお金を集めなあかんかなぁと思ってるところです》
ここで設立されたのが、登記簿やホームページからも、S法人と考えるのが妥当だろう。大崎氏が「金を集めなあかん」と堂々と語り、経産省の事業を落札している事実が存在するのだ。
S法人で代表理事を務める中村氏はどう答えるのか。
「S法人は、経産省関連の調査の請負なので、政府プロジェクトを色々、調査研究をする」
と落札の事実は認めた中村氏だったが、こう続ける。
「S法人の設立から落札まで3か月? その前から(万博まで)時間がなくどうにかしなきゃねと政府の悩みも聞いていて、準備はしていた。大崎さんの影響力、口利きですか? 記者会見では頑張ろうと掛け声のような意味で大崎さんも立ちました。しかし今はかなり引かれていて、距離を取られています」
大崎氏の関与は否定しながらも、公募の事業内容を公表前から知っていたという。
さらに中村氏はこう語った。
「S法人がホテルの一室、ペーパーカンパニー? そうなんですよ。実態は。だから、近く東京に移します」
それでも経産省から2600万円の事業を落札しているのだから、「口利き」の疑念が沸いても仕方がない。
前出の吉本興業幹部に、S法人が落札したという資料を見せると、観念するかのようにこう語った。
「よく調べましたなあ……まあ(S法人は)うち(吉本興業)と関係が深いメンバーばかりですが、疑念を持たれてはいけませんから、4月24日のそういう発表になった。『コーポレートガバナンスの強化等について』の最後の2行が入った? 文書では博覧会協会発注とありますが、経産省など公的なものでも万博関連なら入札しない、そういうことです。(S法人の)落札にうちはなんら関係はない」