キエフ-ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ハマスと戦うイスラエルを即座に力強く支持したことで、キエフが対ロシア戦争でアラブやイスラム諸国の支持を得ようと1年近く努力してきたことが危うくなった。
1,400人以上のイスラエル人が死亡したハマスの奇襲攻撃後、ゼレンスキーはイスラエルを支持する声明を早々に発表したことで、ウクライナは国際的なスポットライトを浴び続け、米国の側にしっかりと位置することになった。
ハマスとロシアは「同じ悪であり、唯一の違いは、イスラエルを攻撃したテロ組織と、ウクライナを攻撃したテロ国家がここにあるということだ」と、ゼレンスキーは10月9日のNATO議会での演説で述べた。
しかし、イスラエルの軍事作戦が4週目に入り、パレスチナ人の犠牲者が増える中、ガザでの戦争は、2022年2月のロシアの侵攻以来、ウクライナにとって最も困難な外交的試練のひとつとなっている。
トルコ、サウジアラビア、カタールといった国々は、時にはウクライナに重要な支援を提供してきたが、ウクライナでの民間人の死に対する広範な非難とイスラエルに対する控えめな批判を引き合いに出し、ガザにおける欧米の二重基準を非難している。
しかし、イスラム諸国やアラブ諸国との緊張は、キエフが直面しているリスクのひとつに過ぎない。キエフは現在、世界の関心が中東での新たな戦争に大きく移っていることや、ウクライナへの追加援助に反対している
下院共和党のマイク・ジョンソン新議長(ラテンアメリカ)が選出されたばかりの時期に、米国の軍事支援に対する競合する要求とも戦わなければならない。
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一部の専門家は、イスラエルはすでにウクライナへの支援強化で応酬するつもりはないことを明らかにしていると指摘した。
10月8日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談するウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領。(ウクライナ大統領報道部/ AFP/Getty Images)
中東研究所の平和構築の専門家であるランダ・スリム氏は、ロシアがシリアを支配していることもあり、
イスラエルはモスクワとの関係を維持するしかなかったと述べ、イスラエルがハマス攻撃後にゼレンスキー氏の訪問申し出を拒否したことを指摘した。
多くのアラブ・イスラム諸国は、イスラエルとウクライナの類似点よりも、攻撃的な軍事大国としてのイスラエルとロシアの類似点を見ている。
「これがアラブ地域の現状です。「彼らはバイデンの言う、ロシアとハマスの比較を受け入れようとはしない。ロシアとイスラエルを比較するのは、死者数や民間人を標的にすることに関してです」。
ゼレンスキーは、「ロシアがウクライナでやっていることは、イスラエルがガザでやっていることと同じだ」と言う用意があれば、もっと多くの友人を獲得できるだろうと語った。
しかし、彼女は付け加えた。
ロシアのプーチン大統領が当初、イスラエルに直接哀悼の意を表することもなく、ハマスに対する断固とした非難もしなかったように、イスラエルが報復空爆を強化する中、ゼレンスキーはガザのパレスチナ市民を保護する必要性についてなかなか口を開かなかった。