
ウクライナに侵攻するロシア軍が苦戦を続ける中、正規軍と私兵・雇い兵の対立が鮮明になっている。
強硬姿勢の私兵部隊などから強まる正規軍への批判を考慮し、
プーチン露大統領もウクライナ戦線を指揮していた司令官の更迭に踏み切った模様だ。
またロシアが部分的動員令を発動してから2週間が経過したが、出国する人が後を絶たず混乱は収まっていない。
ウクライナ軍は1日に東部ドネツク州のリマンを奪還した後も周辺で攻勢を続けるほか、
南部ヘルソン州でもロシアに占拠されていた集落を相次いで解放している。
特に鉄道路線の要衝となるリマンの陥落がロシア側に与えた衝撃は大きかったとみられる。
プーチン氏に近く、ウクライナ戦線に私兵部隊を送っている露南部チェチェン共和国のカディロフ首長は1日、
通信アプリ「テレグラム」に投稿。ウクライナ東部戦線を担当していたラピン中央軍管区司令官に言及し
「私ならば、ラピンを一兵卒に降格させて、恥を拭わせるためにライフルを与えて最前線に送り出す」と批判した。
雇い兵を組織する民間軍事会社「ワグネル」を設立した新興実業家のプリゴジン氏も同調する書き込みを投稿している。
3日になると、同じくウクライナ東部戦線の指揮を担っていたジュラブリョフ西部軍管区司令官が解任されたと報じられた。
米シンクタンク「戦争研究所」は、プーチン氏が作戦失敗の責任を同司令官に転嫁し、
ロシア国内で高まる不満をそらすための人事であるとの見方を示した。後任にはベルドニコフ中将が任命されたという。
ロシアでは9月下旬にも補給作戦を担当していたブルガコフ国防次官が解任されたと報じられており、
軍幹部の解任や更迭が相次いでいる。
カディロフ、プリゴジン両氏による軍批判を受けて、戦争研究所は「プーチン氏がジレンマに陥っている」と指摘。
ウクライナでの軍事作戦を継続するためには、プーチン政権として正規軍だけではなく、
カディロフ氏の私兵組織やワグネルの兵力にも頼らねばならなくなっているからだと分析している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b80e967e15c0687ffbf588c4951053fa6463c772