
南部で反転攻勢に出ているウクライナ軍は、29日にロシア軍兵士100人以上を殺害し、戦車7両を破壊したなどと主張し、反撃をさらに強める構えを示しています。ウクライナの東部や南部で激しい戦闘が続くなか、ウクライナ側がロシア軍の侵攻を食い止めるのに大きな効果を上げていると指摘されているのがアメリカが供与している高機動ロケット砲システム=ハイマースです。
ハイマースは、軍事車両にロケット弾の発射システムを搭載した兵器です。
1台の車両に6発のロケット弾を搭載することが可能ですが再び装填(そうてん)するのにも時間がかからず、少人数で稼働させることができる機動性を兼ね備えています。
さらにGPSによる誘導ロケット弾を発射できるため、高い精度で標的を攻撃できるのも特徴となっています。
アメリカが供与しているハイマース用の誘導ロケット弾は射程がおよそ70キロで、ことし4月からアメリカが供与してきた砲撃に使うりゅう弾砲の2倍以上に及びます。
アメリカは、ウクライナ東部で激しい砲撃の応酬が続いている状況を踏まえ、ことし6月、新たな軍事支援としてハイマースの供与に踏み切り、これまでに合わせて16基を順次現地に送っています。
アメリカ国防総省の高官は、ウクライナ軍がハイマースを使ってロシア軍の弾薬や物資の供給網のほか指揮所などの軍事拠点を長距離から攻撃しているとして「ロシア軍の前線での作戦遂行能力に影響を与えている」と指摘しています。
アメリカのオースティン国防長官は7月20日、記者会見で、ハイマースが戦況に与える影響について「ハイマースだけで戦闘の勝敗が変わる訳ではないが、司令塔や弾薬補給の拠点などを破壊することで戦いのリズムに影響を与え、そこにチャンスが生まれる可能性がある」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220731/k10013744371000.html