
<ワールドスポーツの扉>妻と子を残してアフリカへ 「歯を食いしばって」31歳は走る
https://news.yahoo.co.jp/articles/bcbd415ddc6872a69fecc772efac12dd3524e592
(一部抜粋)
福田穣(じょう)、31歳。マラソンで世界最強を誇るケニアを練習拠点とするNNランニングチームに、
2020年12月からアジア選手として初めて加入した。
プロランナーとして24年パリ・オリンピック出場を目指している。
NNは男子マラソンの世界記録保持者で、21年東京五輪男子マラソンで史上3人目の五輪連覇を果たした
エリウド・キプチョゲ(37)=ケニア=も所属する強豪だ。
福田は「そこそこ」の選手だった。
福岡・大牟田高で2、3年時に全国高校駅伝、国士舘大では3年だった12年に箱根駅伝出場。
全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)には八千代工業(埼玉)、西鉄(福岡)で
20年大会まで7年連続で走った。それぞれチームは優勝と無縁で、自身も目立った成績を残せていない。
転機は18年12月の福岡国際マラソン。
7位に入り、19年9月の東京五輪代表選考会・マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)進出を決めた。
五輪への意欲も芽生えたが、MGCは22位。
「トップレベルで戦うのが当然の選手には通用しなかった。何かを変えなければと思いました」。
実業団選手としての限界も感じていた。
腕試しの場となるシカゴ、ベルリンなど海外のマラソンは、駅伝シーズンが本格化する秋に開催される。
(中略)
ハングリー精神旺盛な選手がひしめくケニアで、日本の実業団システムは驚きを持って受け止められる。
「『レースを走らなくても毎月給料が入るの?』とよく聞かれるし、『日本に行きたい』と言ってくる選手もいます」。
企業の手厚い支援や、駅伝を中心に日本の長距離界が発展した事実は否定しない。
ただ、福田はその「安定」が、日本選手の海外進出を鈍らせる要因と感じている。
一方で、有名選手との差もある。現役復帰を表明した大迫傑(30)、神野大地(28)ら
学生時代に実績を残したランナーはプロ転向後も大手企業がスポンサーになり、スポーツメーカーと用具契約を結ぶ。
福田はケニアではNNの支援を受けるが、国内での活動は模索中だ。
21年末からは活動資金をファンに寄付してもらう「ギフティング」の利用を決めた。
「大迫選手は結果を残しているけど、僕はもっと記録を伸ばさないと説得力は出てこない」。
帰国後の21年12月は1カ月でマラソンを2レース(福岡国際、防府読売)こなしたが、2時間13分、12分と今ひとつ。
次戦は2月27日の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会。意地の走りを見せたい。
【岩壁峻】