
リニア工事「地下水位低下は深刻」 JR予測に知事、生物への打撃懸念
https://mainichi.jp/articles/20200806/k00/00m/040/035000c
未着工のリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区を巡り、
工事によるトンネル周辺の地下水位の低下を最大で300メートル以上としたJR東海の予測について、
静岡県の川勝平太知事は5日の定例記者会見で「非常に深刻な問題だ。影響があると受け止めている」と認識を示し、
周辺に生息する生物が受ける打撃を懸念した。【山田英之】
7月16日にあった国土交通省の第4回有識者会議で、
JR東海は掘削によるトンネル周辺の地下水位の低下を最大で300メートル以上と予測。
地下水位が低下することでトンネル掘削完了の20年後に渇水期の上流の沢の流量が最大で7割程度減少する可能性を示し、
「流量減少が予測される沢の周辺の生態系への影響は回避が難しい」としている。
JR東海は対策として、流量の観測や代償措置を行うと主張する。
一方、川勝知事はこの日の会見で「300メートル以上低下すれば生息する生物に大きな打撃。
極めて重大な問題だと思っている」と語った。
また、第4回有識者会議の終了後の記者会見で座長の福岡捷二・中央大研究開発機構教授が「方向性が見えてきた。
JR東海の計算による限り、トンネルを掘っても下流の水利用に悪影響にならないのではないか」と感想を述べたことに川勝知事は言及。
「有識者会議を早く収束させようという意図が垣間見えた。
価値判断をしたのは拙速だった。一種のシナリオがあったのかなという印象を強くした」と批判した。