
【重慶=多部田俊輔】中国内陸部の湖北省武漢市政府は中国ネットサービス大手の百度(バイドゥ)など3社に対し、自動運転車両を使って乗客を乗せる運行サービスの免許を中国で初めて交付した。
これまでは試験サービスの免許の交付だけだった。次世代通信規格「5G」を使っており、当局は世界で初めての5Gの自動運転の商用サービスとしている。
商用免許を取得すると、中国の工業情報化省と湖北省政府で構成する自動運転の監督当局が定めた武漢市内の公道でサービスを提供できる。
3社は百度のほか、上海市を拠点に天津市などで自動運転バスの試験運行サービスを手掛ける深蘭科技と、
広東省深圳市でバスを運行する国有企業傘下で自動運転技術などを開発する深圳市海梁科技。
5Gなどのインフラを提供するのは、中国国有通信大手、中国移動通信集団や中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)など。
中国メディアによると、ファーウェイ幹部は発表会で「世界で初めての5Gの自動運転分野の応用で、武漢市の取り組みは他の都市のモデルになる」などと発言した。
習近平(シー・ジンピン)指導部が力を入れる中国版の全地球測位システム(GPS)「北斗衛星導航系統」を活用する。
中国移動の幹部は「5Gと北斗の組み合わせで、遅延を千分の1秒単位の遅延にとどめ、センチメートル単位の位置精度を実現できるだろう」と自信を示した。
当面の商業運行が認められたのは武漢市内の28キロメートルの公道で、将来は159キロメートルまで伸ばし、総面積は90平方キロメートルまで拡大する計画だ。
バス中心に運行するとみられる。武漢市は日産自動車やホンダなどが合弁を組む国有自動車大手、東風汽車集団の本拠地で、自動運転の技術開発に力を入れている。
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