
「ママ、20歳になったら胸を取る手術していい?」第二次性徴を迎えたアスペルガーの娘の言葉に母は、【LITALICO発達ナビ】
https://h-navi.jp/column/article/35026728
アスペルガー症候群のある娘。
彼女の第二次性徴は10歳ごろにやってきました。
早くも生理が始まり、体つきがどんどん女性らしく変化していきます。
生理については私自身も人と比べて早い時期に始まったこともり、娘には生理が始まる前にネットで適切な情報を載せているサイトを探し、プリントアウトして手渡すようにはしていました。
それは、反抗期がはじまっている娘にとって、そういった話を直接私から聞くことを嫌がっていたからでもあります。
生理が始まったときはすぐ報告してくれたので、手当ての仕方は繰り返し丁寧に教えることができました。
それでもよく失敗しましたが、そのときの恥ずかしさは私も身に覚えがあったので、決して怒らず片付けて、余裕ができてきたら自分で処理する方法を教えると、本人も気が楽になったようです。
あと、体毛が生えてきたときなどもびっくりして「こんなの生えてきたけど大丈夫?」と一つひとつ確認してきたのを覚えています。
そんな娘にとっての一番の問題。
それは、胸が大きくなることだったのです。
娘は変わり始めた自分の胸を嫌悪していました。
「ママ、これ以上目立たないようにしたいからさらし買って」
「胸を小さくするにはどうしたらいいの?」
「どうしてもいやだったら手術を受けて胸取ってもいい?」
本人は真剣です。
私もここは真剣に答えるべきだと判断しました。
「あなたが大人になって、よく考えたうえでやっぱり手術を望むのなら反対しないよ。
手術したら元には戻せないからよく考えて決めようね。
息子になったとしても私は受け入れるから。」
それを聞いて娘はホッとしたように笑顔を見せました。
その後、性的マイノリティなどに詳しいソーシャルワーカーにその話をしたら、「とてもいい対応だったと思いますよ」とのコメントをいただきました。
その理由は、身体の性と心の性が一致しない人は、そのことに気付かされたときに最大の精神的危機を迎えるからだそうです。
「自分は何者なのだろうか」「これからどうなってしまうのか」という不安でいっぱいな子どもに対し、「あなたは何もおかしくない」というメッセージを、周りの大人から伝えてあげることが大切だというのです。
また、一時的に自分の性に違和感を持っても、それは性同一性障害とは限りません。
成長とともに自身の性への違和感が解消されることもあるそうです。
中には発達障害の場合、性同一性障害と誤診されるようなケースもあると聞いたこともあります。
どのケースであれ、そのときに子どもが自分の性について違和感を持っているサインを出してきたら、決して頭から否定することなく
「あなたはそう思っているんだね」と受け止めてあげたうえで、落ち着いて対処法を考えた方がいいのではないでしょうか。
発達障害を持つ子どもたちは、「なんだか自分は周りの人と違うようだ」「ここは自分の居場所じゃない」と感じることが多く、「自分がみんなの中に溶け込んでいる」と感じることはあまりないようです。
それゆえに「自分は何者か」がわからず混乱してしまうことや、それが自分の性別の混乱につながることがあると聞いたことがあります。
たとえは、特性によって対人関係がうまくいかないことを「同性とうまくやっていけない」という風にとらえて、それが性別違和と思い込んでしまうケースもあるそうです。
私自身、小学生になってからすぐに女子の悪口、仲間はずれなどの洗礼を受け、うまく対応することができず「女は敵だ」と思い込むことによって自分の心を守っていました。
そんな自分の身体が「大嫌いな女」になっていくときの気持ちは屈辱的で、「女なんか嫌。男らしくなりたい。」と切実に願っていたことを思い出しました。