
「専業主婦」の立場が嫌…
質問
「専業主婦」という今の自分の立場が嫌で仕方ありません。夫と7カ月になる長女の3人暮らしで、子供はとてもかわいらしく、日々育児に追われています。ただ、外部とのつながりはほとんどなく、いつも昼間は子供と2人きりで孤独を感じます。
育児中なので今すぐ働けないのは分かっていますが、それでも働いていないことが何となく後ろめたいと感じています。実際に言われたことはないのですが、「今は働きながらの子育てが当たり前の時代」と世間から批判されているように思ってしまうこともあります。
この冬は例年になく冷え込みが厳しいので、ショッピングモールなどへの外出もなかなかできません。それに、インフルエンザが心配なので、人混みは避けています。行政の子育て支援などを利用するといいのかもしれませんが、勇気がなく一歩が踏み出せません。どうしたらいのでしょうか。
(長野県、30代女性)
回答
相談文面から、あなたの煮詰まり具合が察せられる。
来月には古希のわたしが、長男を授かったのは43歳。カミさんは27だった。
子育ては夫婦ともに初。わたしは歳(とし)を重ねていたが、育児には未熟者である。子育てを教わる相手もおらず、未体験の連続だった。
長男がこの秋で27、次男はすでに22となったいま。振り返れば夫婦揃(そろ)って楽天的だったのが、幸いだったと思う。
手引きとした「育児の百科」(松田道雄著)の、愛情に満ちた、ゆるい記述にも大いに助けられた。「時間が解決してくれる」という松田先生の至言を、何度噛み締めたことか。
たとえば夜泣き。時期がくれば夜泣きは止(や)むから待ちなさい、と。他と比べたりせず、こどもの育つに任せればいいとも、本書に教えてもらった。
あなたにできることは山ほどある。ご主人が働く気力を養える巣を調えれば、ともに仕事をしているも同然だ。
教育施設に入園できないのは、日本中の問題らしい。終日一緒にいられる間は他の子に保育園を譲り、社会貢献していると思えばいい。
が、愛児とて、ときに気持ちが煮詰まることもあろう。そのときは束(つか)の間、育児の目先を変えればいい。
居職のわたしは、元日も原稿を書いた。小説が煮詰まったときは、随筆に変えて煮詰まることから身を躱(かわ)した。
原稿を書くのは同じでも、目先(原稿内容)を変えただけで、違う気分で仕事に向き直ることができた。
時が解決してくれるのは、育児も仕事も、そして日々の生活も同じだ。いま働いている他人と比べて、思い詰めることなかれ。どんな草花とて、時季がくればタネは弾ける。
http://www.sankei.com/premium/news/180114/prm1801140011-n2.html