2022年2月21日 19時10分
神奈川県大和市で小学1年生だった次男を窒息死させたとして母親が逮捕された事件で、次男は2回にわたって児童相談所に保護されていたことが県などへの取材でわかりました。2回目の保護が解除されて9か月後に死亡していて、警察が詳しいいきさつを調べています。調べに対し、容疑を否認しているということです。
神奈川県大和市西鶴間の自称、看護助手上田綾乃容疑者(42)は、3年前の2019年8月、自宅のアパートの部屋で小学1年生だった次男の雄大くん(7)の鼻や口をふさいで窒息死させたとして、殺人の疑いで逮捕され、21日、検察庁に送られました。
警察の調べに対し「何もしていない」と容疑を否認しているということです。
県や児童相談所によりますと雄大くんは2回にわたって児童相談所に保護されていました。
1回目は2012年で、生後5か月のとき「心肺停止の状態になった」と容疑者が消防に通報して入院した際、雄大くんの兄と姉が以前、生後まもない時期に亡くなっていたことなどから児童相談所が保護したということです。
2回目は2017年に1歳だった雄大くんの弟が死亡したことがきっかけでした。
このときは児童相談所が保護したあと、施設に入所させる方針を決めたものの、保護者の同意が得られなかったため家庭裁判所に申し立てを行いましたが、却下されたということです。
そして保護が解除された9か月後に死亡しました。
捜査関係者によりますと、後頭部に強い力で圧迫されたときにできる皮下出血があったということで、警察は詳しいいきさつや育児の状況を調べています。
児童相談所「対応が難しい家庭だった」
この事件で、対応に当たった児童相談所が会見を開き、事件前、児童を2回にわたって保護していたことを明らかにしたうえで、「面接を重ねても通常の養育自体には問題が見られず、対応が難しい家庭だった」と説明しました。
事件を受けて、対応に当たった県大和綾瀬地域児童相談所と県の担当者が会見を開き、雄大くんが死亡するまでの経緯を説明しました。
それによりますと、雄大くんは2012年6月に逮捕された母親の次男として生まれ、同じ年の10月、「気がついたら青くなっていた」と母親が消防に通報していました。
雄大くんは無事だったものの、2002年と2003年に、雄大くんの兄と姉がいずれも生後まもなく死亡していたことから、児童相談所が一時保護し、2014年12月には保護者の同意を得たうえで施設に入所させる措置を取ったということです。
雄大くんが2歳9か月となった2015年の3月に、安全を確保できると判断して施設入所を解除し、在宅での指導に切り替えましたが、2017年4月に1歳だった弟(3男)が死亡したことを受けて改めて保護しました。
児童相談所は翌年、施設に入所させようとしましたが保護者の同意が得られなかったため、横浜家庭裁判所に施設入所を求める審判を申し立てました。
雄大くんは、保護されていた際「家に帰りたい」と話しましたが、「母親に投げ飛ばされて口から血が出たことがあった」と話したこともあり、これについて家庭裁判所に伝えられたものの、申し立ては却下されたということです。
そして2018年の11月に保護は解除され、小学校や大和市などと連携しながら在宅指導を行い、死亡する4日前にも母親と雄大くんと面接したということですが、問題なく生活が送れている様子だったとしています。
大和綾瀬地域児童相談所の高須正幸所長は「雄大くんの学校での様子も問題がなく、訪問や面接を重ねても母親と楽しくやり取りをしている様子も見られ、通常の養育自体には問題が見られなかった。事件となった今考えると大変対応が難しい家庭だったと思う。大変重く受け止めている」と話しました。
対応が適切だったか問われると、「重点的に対処しないといけないケースと捉えて、協議を重ねて対応してきた。不適切な対応はなかったと信じている」と述べました。
県と児童相談所は学識者や医師、それに弁護士などによる第三者の検証委員会を立ち上げて、児童相談所の対応について、検証することしています。
長文につき後はソースで
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220221/amp/k10013494631000.html