30日の東京株式市場でサイバーエージェント株が急伸した。前日の終値に比べ一時17%(615円)高の4280円まで買われ、約4カ月ぶりの高値を付けた。29日の取引終了後に発表した2019年10~12月期の連結営業利益が前年同期比45%増の77億円と市場予想を上回り、機関投資家を中心に買いが膨らんだ。
終値は16%(580円)高の4245円で、値上がり率は日経平均株価を構成する企業で首位だった。
市場で伸び悩みが懸念されていたインターネット広告事業は新規顧客の獲得で売上高で8%増の673億円となった。同事業の営業利益率は8.4%と2018年1~3月期以来の高い水準だった。野村証券の長尾佳尚氏は「改善の兆しが見えつつあるのは好印象だ」と話す。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒木正人氏は「昨年12月ごろからゲーム会社向けの広告の売り上げ減少も下げ止まったようだ」と投資家からの懸念は後退したと指摘する。
一方、ネットテレビ「Abema(アベマ)TV」などを手掛けるメディア事業は番組制作費などの先行投資がかさみ50億円の営業赤字。四半期ごとに40億~50億円規模の赤字が続く。
ファイブスター投信投資顧問の大木将充氏は、米動画配信大手ネットフリックスなどとの競争が激しくなるなか「視聴者を囲い込めるコンテンツはまだ作れていない。制作費の増加が業績の足を引っ張る状況が続く」と指摘する。
市場では「決算を見て買い戻した個人投資家も多く、上値余地は乏しい」(国内機関投資家)との見方もでていた。
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55053160Q0A130C2ENI000/