大阪府北部で延伸する北大阪急行電鉄の開業目標が令和2年度から5年度に延期されたことを受け、大阪大が通学手段の確保に苦慮している。3年春には箕面キャンパスが新駅「箕面船場阪大前」そばに移転するのに、少なくとも2年は同駅を利用できないことになるからだ。代替となるのはバスだが、午前中だけで学生ら数百人が利用する見込みで、阪大は年明けにもバス会社側との協議を予定している。(張英壽)
■「寝耳に水」
延伸は、現在の北大阪急行の終点、千里中央駅(大阪府豊中市)から北に約2・5キロ延ばし、同府箕面市内に2駅を新設する計画で、北大阪急行と箕面市が事業主体。大阪市中心部につながる大阪メトロ御堂筋線と相互直通運転しており、地元では利便性向上に大きな期待がかけられた。
ところが今年5月7日、開業目標の延期が発表された。用地交渉の長期化のほか、ルート上の地中に鉄と板で作られた土留め用の壁が見つかったことなどが原因だった。
「報道で初めて知り、驚いた。箕面市から連絡があったのは報道の後で、寝耳に水だった」
阪大施設部企画課の板野晃治課長はこう振り返る。箕面市に事情を確認した上で翌8日、大学の公式ホームページで、3年4月のキャンパス移転に変更はないと公表した。
現在の箕面キャンパスは平成19年に阪大と統合した大阪外国語大の建物を使っており、外国語学部などが立地。校舎が老朽化するなどし、平成27年に移転を決定した。移転先は新駅から徒歩1分で、通学しやすくなるはずだったが、延伸延期で逆に、学生の通学手段が課題となった。
■バス便確保へ
開業目標の延期を受け、阪大は6月、箕面キャンパスに通う1、2年生約600人にキャンパス移転後の転居の有無などを聞くアンケートを実施。学生らの交通手段を分析した結果、新キャンパスの最寄り駅となる千里中央駅から、平日午前中に数百人の学生がバスを利用する可能性があることが判明した。
そこで阪大は、千里中央駅と新キャンパスを結ぶバスの増便が不可欠と判断。年明けにも、周辺で運行する阪急バスと協議する予定だ。また新駅そばにあり、繊維業者が集まる「大阪船場繊維卸商団地協同組合」が関係者のために運行しているバスに学生を乗せてもらうことも模索している。
ただ、午前中だけで学生数百人が利用する見通しについて、阪急バスの広報担当者は「バスの台数や運転手には限りがあり、1台に乗れる乗客は60~80人まで。増便には全社的な調整が必要」。協同組合も「学生をバスに乗せるなら、別の許可がいる」と打ち明ける。近畿運輸局によると、乗り合いバスとして許可を得るには、複雑な手続きをとらなければならない。
阪大の板野課長は「年明けに協議を始め、早くバス便を確保して学生を安心させたい」と話している。
12/18(水) 11:27配信 産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191218-00000514-san-soci