https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180310/k10011359621000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_008
3月10日 18時28分
東日本大震災の発生から11日で7年です。NHKが岩手・宮城・福島の被災者にアンケートを行ったところ、家計が苦しいと感じている人が6割以上に上っていることがわかりました。
また、全体の半数近い人が震災後、続いていた支援が最近、打ち切られたと回答していて、専門家は「生活再建に向けた支援を同時に進めていく必要がある」と指摘しています。
NHKは去年12月から先月にかけて岩手・宮城・福島の3県の被災者や原発事故の避難者合わせておよそ5700人を対象にアンケートを行い、全体の3割余りにあたる1932人から回答を得ました。
この中で現在の家計の状況について尋ねたところ、「苦しい」が19%、「どちらかと言えば苦しい」が46%で家計が苦しいと感じている人が合わせて65%に上りました。
また全体の半数近い48%の人が震災後、続いていた支援が最近、打ち切られたり、負担が増えたりしたと回答していて、複数回答で内容を尋ねたところ、「医療費負担免除」が40%と最も多く、「税金や社会保険料の減免・猶予」が27%、「東電からの賠償金」が24%、「住宅の無償提供・家賃補助」が23%などとなりました。
自由記述の中で、災害公営住宅で生活する福島県郡山市の68歳の女性は、「7年が過ぎると家賃は自己負担となり、年金生活の身にはこたえます。震災前よりも老後の生活に不安を感じています」とつづったほか、自宅を津波で流され別の場所に再建したという岩手県宮古市の66歳の女性は「家も店も再建しましたが、この年齢でローンを抱え、復興したとはとても言えません」と回答しました。
防災社会学が専門の兵庫県立大学の木村玲欧准教授は「一定の基準のもと、時期を区切って支援を打ち切るのは行政の判断としてしかたのないことだと思う。一方で阪神・淡路大震災など過去の災害を教訓に生活が困難な人に対しては一人一人の状況にあわせた生活再建に向けた支援を同時に進めていく必要がある」と指摘しています。
援護資金の返済始まって重荷に
生活の再建のために借金をした被災者の中には、返済の猶予期間が終わって家計の負担となり、苦しい生活を続けている人もいます。
夫婦2人で暮らしている石巻市の65歳の男性は、震災前、電気設備会社の正社員として働いていましたが、震災で会社が倒産し、失業しました。
このため、自治体が被災した人たちの生活再建のために貸し付ける災害援護資金を、震災よくとしの1月に170万円を借りました。その後、仕事を探しましたが安定した収入を得られる仕事は見つからず、地元の水産加工会社で、時給800円のパートとして働いていますが、月収は7万円程度と震災前の半分以下になりました。妻の月収を合わせて20万円余りとなり、月におよそ10万円の住宅ローンが支払えなくなったため、去年12月自宅を手放し、月およそ7万円のアパートに入居しました。
こうした中、災害援護資金の6年間の返済猶予期間が終わり、先月から月2万円余りの返済が始まって引き続き生活が苦しい状態が続いているということです。
今は食費をはじめとした生活費を切り詰めているほか、妻は化粧品代も節約しようと2日に1回しか化粧を落とさない生活を続けています。
男性は「いまだに生活は楽ではないし、生活費を借りたお金の返済にまで回せるような状況ではなく返済は苦しいです。これから2人とも年をとっていくだけなのでいつまで働けるかわからないのも不安です」と話していました。
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