https://www.theguardian.com/games/2020/jul/14/ghost-of-tsushima-review-samurai-thrills-kurosawa-cinematic-combat
サッカーパンチ社が開発したゴーストオブ対馬は一言でいえば
日本のサムライ映画の最も熱狂的なファンがその味わいを忠実に再現した作品だ。
圧倒的なグラフィックから黒沢映画を思わせる封建的な世界が築き上げられ
プレイヤーをモンゴル軍の侵略から日本を守る戦いへと誘っている。
主人公・境井仁は対馬の生き残りの1人であり、兵力を欠く不利な状況ながら侵略者を撃退し母国を救う使命を背負っていた。
彼は時に草むらに隠れて木の動向を注意深く観察し、また別の時には暗殺者へと変貌していく。
その過程はまさに日本の時代劇そのものだ。名誉と自己の発見。それこそがゲームの主題である。
また日本の美しい風景や劇的な天候も見所の一つだろう。落ち葉が舞う中ひと気のない街中で敵と睨み合い、刀を早く振り
敵の胸から血しぶきを出させ倒す。開発者が黒澤明を意識して今作を制作したことに疑いの余地はない。
しかし対馬の何よりの魅力は背景の描写にある。これは非難のしどころがないほど完璧だ。
木立の中の寺院。赤いカエデと青いアジサイが彩る野原。そこを馬で駆けていく時など否応なく気分が盛り上がる。
占領された漁村や聖地からアンロックを解除し能力を高め、長い草をはためかせ目的地へと向かう構成も良い。
時折現れる金色の鳥を馬で追いかけると、ゲームに役立つ場所へと案内されるなど演出も面白いものであった。
だが風景以外はというと、今作は問題を提示している。
繰り返し行われる退屈な作業。それが暗い影を落としてもいた。
さらにゲームは序盤があまりにもお決まりな展開とあまりにも困難な敵により苛立たしいものとなっていれば
中盤こそ刺激的ではあるものの、終盤にかけては敵が弱くなりすぎるため退屈な形となっている。
能力が強化されると主人公は殆ど自動的に敵を倒す力を得るため倒し甲斐がないのだ。
しかも特定のスキルが非常に強い影響力を持っているため育成も、あまりする意義を見出せないのである。
私は最終的に一瞬で10人のモンゴル軍兵士を倒せるようになってしまっていた。